メガーヌR.S.トロフィーの魅力「本気度が伝わってくるホットハッチだ!」

「ホットハッチ」、この一言に胸がときめく人も多いのではないだろうか。さまざまなホットハッチがある中で、今回はフランスのホットハッチ「メガーヌR.S.トロフィー」を紹介しよう。

走り出した瞬間からルノー・スポールの本気度を感じられるメガーヌR.S.トロフィーはどのような車なのか、真のホットハッチの実力を体感してみたいと考えている方は、ぜひ本記事を参考にしてもらいたい。

メガーヌR.S.トロフィーとはどのような車なのか

まず、メガーヌR.S.トロフィーがどのような車なのか解説する。そもそもメガーヌは、フランスの自動車メーカーであるルノーのCセグメントモデルだ。日本国内ではハッチバックやワゴンを販売しているが、その他の国や地域ではセダンも売られている。

今回紹介するメガーヌR.S.トロフィーは、5ドアハッチバックのメガーヌの中で最もスポーティなグレードだ。モデル名にも冠されている「R.S.」は、ルノーのスポーツ部門である「ルノー・スポール」の略称。

つまり、メガーヌR.S.トロフィーは、ルノー・スポールが手がける最もスパルタンなモデルということだ。

メガーヌとメガーヌR.S.の位置付け

ルノーのメガーヌ(5ドアハッチバック)には、スタンダードモデルの「メガーヌ」、ルノー・スポールが手がけるスポーティモデルの「メガーヌR.S.」や「メガーヌR.S.トロフィー」がある。

同じ「メガーヌ」と名乗っているものの、メガーヌとメガーヌR.S./メガーヌR.S.トロフィーでは開発部門が異なる。メガーヌは、ルノーが開発する乗用車だ。一方、メガーヌR.S.やメガーヌR.S.トロフィーは、ルノーのモータースポーツ部門であるルノー・スポールが開発を手がけている。

このような開発部門の違いによって、同じ車種ではあるが仕上がりは全く異なっているのが面白いポイントだ。

メガーヌR.S.とメガーヌR.S.トロフィーの関係

メガーヌR.S.とメガーヌR.S.トロフィーは、どちらもルノーのモータースポーツ部門であるルノー・スポールが手がけているモデルだ。どちらもモータースポーツで培ったノウハウと先進技術を惜しみなく投入し、高いレベルのパフォーマンスを実現していることが特徴となっている。

メガーヌR.S.とメガーヌR.S.トロフィーは、同じ見た目で同じエンジンを搭載しているものの、装備やメカニズムなどが異なる。

一言でメガーヌR.S.とメガーヌR.S.トロフィーの違いを言うのであれば、メガーヌR.S.がスポーティなホットハッチ、メガーヌR.S.トロフィーがよりパフォーマンスを高めたスポーツハッチとなる。

メガーヌR.S.とシビックtypeRのライバル関係

メガーヌR.S.はスタンダードな乗用車であるメガーヌのスポーティモデルとして位置づけられている。このような立ち位置のモデルが日本車にもある。それは、シビックとシビックタイプRだ。

シビックタイプRは、メガーヌR.S.と同様に、スタンダードモデルであるシビックのスポーティグレードとして位置づけられている。そのため、よく比較され、ライバル関係にあると言われている。

実際にメガーヌR.S.とシビックタイプRを乗り比べてみると、メガーヌR.S.とシビックタイプRは目指す方向性が異なっていることがわかる。

スポーティなドライビングをスポーティに仕上げられた空間で楽しみたいのであればシビックタイプRがおすすめだ。一方、メガーヌR.S.は、何気ない日常の場面をスポーティなシーンに変えるほどホットな走りが楽しめる。

どちらも”スポーティ”という言葉でまとめられてしまうことが多いが、乗用車にスポーツカーのエッセンスを加えたモデルがシビックタイプR、スポーツカーを乗用車に寄せたモデルがメガーヌR.S.と言ったほうが走行フィールのイメージがしやすいだろう。

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メガーヌRSトロフィーはメガーヌRSと何が違うのか

メガーヌR.S.とメガーヌR.S.トロフィーは、同じエンジンを搭載しているが、異なるポイントがいくつかある。ここからは、具体的に何がどのように違うのか解説しよう。

走行性能における違い

メガーヌR.S.とメガーヌR.S.トロフィーは、走行性能の面においての違いが大きい。

メガーヌR.S.になくメガーヌR.S.トロフィーに装備されているメカニズムには、シャシーカップ、トルセンLSD、前輪アルミ製ハブ/鋳鉄製ベンチレーテッドディスクなどがある。ここからは、特筆すべき機能の特徴を紹介する。

シャシーカップ

メガーヌR.S.トロフィーはメガーヌR.S.に対し、スプリングレートをフロント23%、リア35%、ダンパーレートを25%高めている。また、フロントアンチロールバーの剛性を7%高めたシャシーの「シャシーカップ」は、ロールを抑えて正確なハンドリングをもたらす。

トルセンLSD

トルセンLSDは、サイドギヤを分割して結合部にワンウェイ構造のヘリカルスプラインを採用したLSDとなっている。左右輪のトルク配分比を高め、トラクション性や走行フィーリングを向上させていることが特徴だ。アクセルをオンにした時は差動制御が大きく機能し、トルク配分比を大きく高める。一方、アクセルをオフにした時は差動制御の効きを抑え、最適なトルク配分をしてドライバビリティを向上させている。トルクバイアスレシオは2.6:1で、ルノー・スポールモデル専用にチューニングされている。

前輪アルミ製ハブ/鋳鉄製ベンチレーテッドディスク

フロントブレーキには、鋳鉄製のベンチレーテッドディスクにアルミ製ハブを組み合わせたブレーキを採用している。メガーヌR.S.に比べ1個あたり1.8kg軽いだけでなく、冷却性能も向上している。ブレーキディスクは、スリット入りが採用されている。

エクステリアの違い

エクステリアは、メガーヌR.S.とメガーヌR.S.トロフィーに大きな違いはない。エクステリアの違いとしては「TROPHY」のデカール程度となっている。

インテリアの変更ポイント

インテリアの大きな違いはシートだ。メガーヌR.S.には、アルカンターラのR.S.スポーツシートが装着される。また、前席にシートヒーターが装備され、運転席のランバーサポートも付いている。

一方、メガーヌR.S.トロフィーのシートは、RECARO製フロントバケットシート(アルカンターラ)が装着される。なお、シートヒーターやランバーサポートは装備されない。

このような違いがあるためドアを開けた瞬間からそれぞれのモデルの違いを感じられる。

メガーヌRSトロフィーの走行インプレッション

メガーヌR.Sトロフィーの走りは非常にスポーティだ。「ホットハッチとはこういう車のことを言うのだろう」と思わせてくれる走りが魅力となっている。ここからは、走りの特徴を細かく解説しよう。

エンジン

エンジンは、Cセグメントのハッチバックとしては十分すぎるほどのパワーがある。また、アクセルに対するレスポンスがよく、ドライバーの右足の操作に対し、忠実に回転数が上がり、エンジン回転数の上昇に伴ってトルクを発生させる。加えて、心地よいエンジンサウンドも気持ちを高ぶらせるスパイスになっている。

ハンドリング

ハンドリングの第一印象は、多くの人が「乗用車より重い」と感じるだろう。ただし、重すぎることはない。メガーヌR.S.トロフィーのステアリングは、重すぎることも軽すぎることもない適度な重さのステアリングとなっている。

そのため、直進安定性がいい。コーナリングでは、ステアリング操作に対し素直に反応する。そして、ドライバーの意思通りに車の向きが変わる。

また、第一印象で感じるであろうステアリングの重さにはすぐ慣れる。そのため、運転するときにステアリングの重さを心配したり気にしたりする必要はない。

むしろ、メガーヌR.S.トロフィーの適度な重さのステアリングや素直に向きを変えるハンドリングに慣れてしまうと、スタンダードな乗用車のステアリングやハンドリングでは物足りないと思ってしまうほど。このように思ってしまうほど、ドライバーの感覚に寄り添ったステアリングやハンドリングになっている。

4輪操舵

4輪操舵は、メガーヌR.S.とメガーヌR.S.トロフィーの大きな特徴でもある。ただ、実際に運転してみると「本当に4輪操舵?」と思ってしまうほど何も感じない。つまり、ドライバーに違和感を感じさせることなく4輪を操舵し、自然にコーナリングをサポートをしているということだ。

この4輪操舵は、開発ドライバーとエンジニアが協力して作り込んでいることがよくわかる。

乗り心地

乗り心地は、スポーツカーそのものと言っても過言ではないだろう。シートを通して路面の状態を全身で感じられる。ただし、やたらゴツゴツしてロードノイズがうるさいというわけではない。

突き上げた時の角感やロードノイズなどは適度に抑えているため、長時間運転していてもさほど疲れることはない。むしろ、全身で感じられるインフォメーションによって、このまま走り続けたくなるほどだ。

走行インプレッションの総括

メガーヌR.S.トロフィーは、エクステリアを見たときにスポーティさを感じることができ、ドアを開けたときに見えるインテリアでより気持ちが高ぶり、走り出すと心拍数が上がるほど気持ちが高揚して、アクセルを踏み込むとアドレナリンが出る気持ちいいスポーツモデルだ。真のホットハッチとは何なのか再確認させてくれるモデルと言えるだろう。

まとめ

メガーヌR.S.トロフィーは、ルノー・スポールが手がけるメガーヌの最上級のスポーツモデルだ。見た目はメガーヌの進化系にしか見えないが、中身はしっかりと作り込まれ、スポーツモデルらしい走りを楽しむことができる。世の中に「ホットハッチ」と呼ばれるモデルは数多くあるが、スポーツカー寄りのホットハッチや入念に作り込まれたホットハッチの数は少ない。メガーヌR.S.トロフィーは、スポーツカーをCセグメントに凝縮した激熱なモデル、つまり真のホットハッチの1つといえるだろう。