【GRカローラ 試乗】AMGやMに匹敵するスポーツカーなのか?

GRカローラとは、GRヤリスに積まれるWRCのホモロゲ用に開発されたエンジンをカローラに乗せてしまった一台。

304馬力ものパワーを発する強心臓を手に入れたカローラ、ライバルとなるのはGRヤリスやWRXであろうか。はたまた欧州の高級スポーツカーとも勝負できるポテンシャルがあるのか。

GRカローラの走行性能を実際に筑波山と高速道路での試乗を元に記事にしたい。

レース譲りのエンジンの実力

1番皆さんが気になるのはエンジンだろう。

GRカローラに積まれるエンジンはWRCに出場するために開発されたGRヤリスに積まれるG16E-GTSである。(実際にはWRCのレギュレーションで3気筒エンジンが認められず搭載はされていない)

このエンジンのスゴいのは、パワーだけではない。なんと304馬力ものパワーをたった1.6Lの3気筒エンジンで実現しているのだ。

しかも面白い点は、本家GRヤリスよりも約30馬力ものアディショナルパワーを手に入れているのだ。

そのために、リアを見るとGRカローラのマフラーは3本だしになっており、下部を覗き込むとセンターのマフラーはフルストレート形状となっている事がわかる。

試作品段階のGRカローラをテストドライブしたモリゾー(豊田章男氏:当時社長)が、270馬力仕様では物足りないと伝え、結果的に300馬力のハイパワーマシンが誕生したのだ。

実際試乗して驚いたことはトルクバンドの広さだ。ピークパワーだけあるエンジンではなく、低回転域から太いトルクが溢れて出し、そのトルクを維持したままレスポンスよくエンジンは高回転まで回っていく。

現在のエンジンに多い高回転域でレスポンスが鈍くなっていくことはなく、ドライバーの意思通りに淀みなく回るエンジンフィールはとても気持ちが良い。

なので、ドライバーは3000回転から6500回転まで自分が欲しいだけの加速をすぐに手に入れる事ができる。

車線変更やジャンクの合流も非常に楽だった。またコーナーの立ち上がりでもトルクが瞬時に出てくるので、加速でもたつく事は少なく、非常に扱い安いエンジンだった。まさにラリーという競技で活躍するために生まれてきたといえるピークパワーよりもトルクバンド重視のエンジンだ。

一つ弱点があるとすると、2000回転前半では少しパワーが出てこない。しかし、この車には好都合だ。ドライバーが回転数を意識してシフトワークする必要があるからだ。

運転を積極的に楽しむためのスパイスとして捉えると車好きには欠点として映らないだろう。

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本気のエクステリア

GRカローラがカローラスポーツから進化しているのはエンジンだけではない。

エアロパーツもS耐に参戦している水素カローラからのデータをフィードバックされている。

1番印象的なのは、片側約2センチも拡張されたフェンダーだ。

大きく張り出したフェンダーデザインは、カローラとは思えない迫力を持ち合わせている。

リア側もフロント同様に迫力あるフェンダーアーチが備わり、タイヤサイズは、フロント、リアともに235/40R18いうサイズを履いており、これはベースとなったカローラスポーツよりもタイヤトレッド幅が広い。

また、左右のタイヤ間のトレッド幅もフロント60mmUP、リア85mmUPと大幅に手が加えられている。

この効果はとても大きい。トレッド幅が広がり、コーナリング中の姿勢が安定しているのはもちろん、足回りのアーム長も延長されることで、路面への追従性が向上している。

特にリア側のサスペンションは非常に良い仕上がりだった。

GRカローラの乗り心地や走行性能はいかに

GRカローラの驚くべきポイントは乗り心地と運動性能を高い次元で両立していることだ。

乗り心地はとても良く、比較するならベンツCクラス(W205型)に勝るとも劣らない完成度となっている。特にリア側のサスペンションのリニアな動きや路面のいなしは、Cクラスに勝っているように感じた。

乗り心地が良い秘訣は以下の2つにある。

  • 高剛性の強固なボディ
  • 安心感あるサスペンション

高剛性の強固なボディ

ベースとなったカローラスポーツに比べて、スポット溶接の打点を349カ所も増やすし、構造用接着剤を2.7m追加した。また、床下には3点のブレースを追加して、開口部を補強してある。さらにリアサスペンション取付部の結合箇所、合計4箇所にブレースを追加することで、欧州車に負けない頑丈で安定感のあるボディを実現している。

安心感あるサスペンション

リア側のサスペンションはダブルウィッシュボーンを採用しており、カローラの名から想像できないようなコストのかかった作りをしている。

また下回りを覗き込むと、ダブルウィッシュボーンを構成するパーツ一つ一つが非常に剛性に優れそうな断面積の大きな作りとなっている。さらにサブフレームもFFベース4輪駆動でありながら、FRのような頑丈そうなサブフレームが備わっている。

このように乗り心地を評価すると運動性能が低いと思われてしまうかもしれないが、その心配はない。高剛性ボディは運転性能の底上げにも直結するからだ。

GRカローラはドライバーのステアリング操作に忠実に車が動くハンドリングは非常に気持ちがいい。ワインディングでのコーナリングフィールは格別だった。

驚きのコーナリングフィール

それだけではない。驚いたのはフロントとリアの追従性が良いことだ。GRヤリスのようにホイールベースが短い車では、フロントとリアの絶対的な距離が近いので、ステアリング操作にリアタイヤが追従しやすいのだが、GRカローラのようにホイールベースが長くなると、フロントとリアの一体感あるハンドリングの実現は難しくなる。

このフィーリングを実現するためには、フロントとリアの絶対的なボディ剛性の確保と、前後の剛性バランスを整えることが求められるからだ。まさにGRカローラのように試作車で数々のトライアンドエラーを行わないと実現できないフィーリングなのだ。そのため、スポーツカーであっても、このバランスが整えられている車種はかなり少ない。

GRカローラは、GRヤリスに対してロングホイールベース化(+80mm)による恩恵を得て、直進安定性、乗り心地の良さと、ハンドリングのリニア感を両立していた。

3つのドライブフィーリングが楽しめるGR-FOUR

また楽しいのが、GR-FOURとよばれるドライブモード選択機能だ。この機能ではフロントとリアのトルク配分を三段階にコントロール出来る。

フロント重視のモードにすると、FF車の様にアクセルオンで車体が安定しながらコーナを立ち上がる事ができる。

リア重視のモードにすると、FR車のようにアクセルオンをしてもフロントが逃げることがなく、素直なハンドリングを味わえる。

そしてトラックモードにすると、フロントとリアが1:1に近いトルク配分となり、コーナリング中に荷重がかかっていない外輪にトルクを分配して、タイヤの回転でトラクションを稼げるとても優秀なセッティングとなっていた。このモードにすると運転があまり上手ではなくてもフロントとリアのタイヤを満遍なく使えてタイムアップ向上が見込めそうだった。

GRカローラとGRヤリスどちらが買いか

GRカローラとGRヤリスのどちらを選ぶかというと悩ましい選択だ。

(既にGRカローラは限定販売数が完売のため中古での入手が必要になるが、今後再販の噂もあるので、そちらの情報に期待したい)

GRカローラは相当走りに振り切った一台だ。わざわざ限定モデルとして販売するぐらい尖っていた。

しかしながら、その運動性能をまるで隠すかのような上質な乗り心地は、長距離ドライブを楽にさせ、オンのドライブもオフのドライブも両方楽しめる極上のグランドツアラーとなっていた。

これはカローラの延長線上でチューニングした車ではなく、ボディを1から見直し、欧州車に匹敵する強固なシャシーを開発したことによるものだろう。

ここまでべた褒めなGRカローラだが、GRヤリスと比較したときに、どちらを選ぶかというとそれは用途によるだろう。

ワインディングをドライブしたり、たまにサーキットに行く人には、GRカローラをおすすめしたい。なぜなら、ハンドリングの楽しさと乗り心地、そして積載性という、運転を楽しむために何一つ犠牲にされていない点だ。

GRヤリスは、ストイックに運転を楽しみたい方にオススメしたい。長距離ドライブの安定性よりも、ワインディングやサーキットでのキビキビした動き、そういう操る楽しさを常に最大限味わいたい方はGRヤリスのほうが幸せになれるだろう。

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