ポルシェのブレーキの仕組みとは?よく効く理由を解説

「ポルシェのブレーキは世界一」と聞いたことがある方も多いのではないだろうか。大げさなのではないかと思う表現ではあるものの、実際にポルシェに乗ってみると、“世界一”と言われる理由も納得できる。

この記事では、ポルシェのブレーキが優れている理由や、その仕組みなどについて解説する。ポルシェのブレーキがなぜよく効くのか気になっている方は参考にしていただきたい。

ポルシェのブレーキは3種類ある!その違いや仕組みについて

ポルシェの純正ブレーキには、「Porsche Ceramic Composite Brake(PCCB)」、「Porsche Surface Coated Brake(PSCB)」、「Porsche純正ブレーキ」の3種類があると公式サイトに記載されている。

これらの違いとは何なのだろうか。まず、それぞれのブレーキの特徴(仕組み)を解説する。

Porsche Ceramic Composite Brake(PCCB)

PCCBは、セラミック・コンポジットという名称のとおり、セラミックを使用した混合素材のブレーキだ。高い制動力が特徴のセラミック製ブレーキは、高性能マシンに採用されることが多い。

また、鋳鉄製ディスクよりも50%ほど軽量なのもポイントとなっている。ポルシェのセラミック製ブレーキには、イエローで塗装されたアルミニウム製キャリパーが装備される。よって、キャリパーを見るだけでセラミック製ブレーキが装着されていることが判断できる。

Porsche Surface Coated Brake(PSCB)

PSCBは、サーフェス・コーテッドと表記されているとおり、鋳鉄製のブレーキディスクの表面にセラミックコーティングが施されているブレーキだ。耐食性に優れ、ブレーキダストが少ないことが特徴となっている。

また、セラミック製ブレーキよりも価格が安いこともポイントだ。キャリパーがホワイトとなっているため、判別しやすい構造となっている。

Porsche純正ブレーキ

ポルシェの純正ブレーキとして多くのモデルに採用されているのが、ブラック(4ピストン式)のキャリパーまたはレッドのキャリパー(アルミニウム製6ピストン式)が装着されるブレーキだ。剛性が高く、短いペダルストロークでコントロールしやすいブレーキとなっている。

ポルシェのブレーキがよく効く仕組みの秘訣はブレンボとの共同開発

ポルシェのブレーキは、ブレーキメーカーの大手でもあるブレンボと共同開発されている。また、ポルシェのブレーキは、エンジン出力の約4倍の制動力を誇るブレーキを装備している。ポルシェがこれほどまでに高いブレーキ性能を要求するのは、どのような状況でも安心して止まれるということに重点を置いているためだ。

もちろん、出力の約4倍の制動力を実現するのは簡単なことではない。そのため、ブレンボにとってもポルシェのブレーキ開発は“挑戦”となっているようだ。

この挑戦の結果として、ポルシェのブレーキ性能は名だたるスポーツカーを凌駕し、頂点に立っている。

自動車雑誌 auto motor und sport​が実施しているブレーキテストでは、ブレンボのブレーキを装着しているポルシェが100-0km/h制動距離テストで何度もトップに輝いている。

  • 2016年:ポルシェ 911 GT3(100-0km/h:30.7m)/ランキング1位
  • 2021年:ポルシェ 911 GT3(100-0km/h:28.2m)/ランキング1位

上記の結果からも、ポルシェおよびブレンボ製ブレーキの性能が極めて高いことが明らかである。加えて、年々進化し続け、制動距離が短くなっているのも注目すべきポイントだ。

ポルシェを運転してみるとブレーキの効きの良さに驚く

「ポルシェのブレーキは世界一」は言いすぎなのではないかと思っている方も多いだろう。しかし、実際にポルシェを運転し、ブレーキをかけると、そのコントロール性の高さや制動力に驚かされる。

最もベーシックな「Porsche純正ブレーキ(黒キャリパー)」を装着するモデルであっても、ブレーキペダルを少し踏めば少し踏めばわずかな制動力が立ち上がり、踏み込み量に応じて制動力が比例して高まる構造となっている。

当たり前のように聞こえるかもしれないが、ペダル操作に対して素直に反応するブレーキを装着しているクルマは実は少ないのが実情である。

このポルシェのブレーキに慣れてしまうと、その他のクルマのブレーキのロスストローク(ブレーキペダルを踏んでからブレーキが効き始めるまでの踏みしろ。いわゆる遊び部分)が多く感じる。言い換えれば、ポルシェから他車へ乗り換えた際に、制動遅れによる不安を感じる可能性があるということである。それほどまでにポルシェのブレーキは優れている。

初めてポルシェに乗ると、「ブレーキが効きすぎる!」と思うかもしれない。しかし、運転しているうちにポルシェのブレーキに慣れ、使いこなせるようになってから、その他のクルマに乗り換えるとコントロールの難しさを実感する。すると、「やっぱりポルシェのブレーキの方が良い」と感じるはずである。

つまり、このような感情を抱くほどポルシェのブレーキは優れているということなのだ。とはいえ、ポルシェのブレーキの凄さやコントロールのしやすさは、実際に乗って運転してブレーキをかけてみなければわからない。少しでもポルシェのブレーキに興味があるのであれば、一度乗ってみることを推奨したい。

ポルシェのブレーキは体験して初めて凄さを知る

ブレンボとの共同開発による優れた仕組みにより実現しているポルシェのブレーキは、自分でブレーキペダルを踏んで制動力をかけた時に凄さや魅力を感じる。

ポルシェのブレーキが“世界一”と言われる理由を確かめたいのであれば、おもしろレンタカーでポルシェを借り、1日かけてじっくりドライブしてみるとよいだろう。

ポルシェは、走行性能に優れるスポーツカーというイメージが強いが、それと同じ程度、いや、走行性能以上にブレーキ性能の高さに驚くクルマだ。あなたも、ぜひポルシェのブレーキの性能の高さを体験してみてはいかがだろうか。