4WDの「フルタイム」や「パートタイム」とは?四輪駆動の違いやメリット・デメリットを解説

クルマの駆動方式には、前輪または後輪を駆動させる二輪駆動(2WD)と4輪を動かす四輪駆動(4WD)がある。この4WDには、さまざまな種類があり、各メーカーやモデルごとにその特徴が異なる。

今回は、四輪駆動(4WD)の基礎として、フルタイム4WDとパートタイム4WDの違いについて解説する。

「4WD(四輪駆動)」には3つの種類がある

クルマの四輪駆動(4WD)には、主にフルタイム4WD、パートタイム4WD、スタンバイ(オンデマンド)4WDの3種類がある。

フルタイム4WDは文字通り常時四輪を駆動させる4WDである。ドライ路面から滑りやすい路面、凍結路や悪路まで、さまざまな路面状況・走行条件に対応できることが特徴となっている。

また、カーブなどで前輪と後輪の間に回転差が生じる場面では、その回転差を調整するセンターデフが設けられているため、スムーズな走行が可能だ。

パートタイム4WDは必要なときに四輪駆動へ切り替えて車輪を駆動させる方式だ。ドライ路面など道路状況が良い場所では2WDで走行し、悪路や雪道など滑りやすい路面では4WDに切り替えて使うシステムであり、トランスファースイッチやトランスファーレバーを操作することで、2WDと4WDを切り替えることが可能となっている。

なお、センターデフがないため、乾いた路面やアスファルトでは、カーブを曲がるときに、前後のタイヤの回転差によりブレーキがかかったようになる「タイトコーナーブレーキング現象」が起こりやすくなるというのが注意点だ。よって、乾いた路面では2WDで走行することが推奨されている。

スタンバイ(オンデマンド)4WDは、状況に応じて四輪に駆動力を配分して走行するシステムとなっている。通常は2WDでの走行となるが、必要なときだけ4WDに切り替わるため、フルタイム4WDやパートタイム4WDと比べると、悪路や滑りやすい路面における走行性能が高くない場合が多い。

このような違いがあることから、雪道や凍結路、悪路などを走行することがある場合は、フルタイム4WDまたはパートタイム4WDを選んでおくとよい。では、四輪駆動車を選ぶときは、どちらの駆動方式の方がよいのだろうか。

ここからは、走破性が高い四輪駆動であるフルタイム4WDとパートタイム4WDのメリット・デメリットを解説する。

フルタイム4WDのメリット・デメリット

フルタイム4WDのメリットは、常時四輪を駆動しているため、雪道や凍結路、未舗装路など、悪路における走破性に優れている点だ。近年のフルタイム4WDは、路面の状況や走行状態に応じて前輪と後輪のトルクを配分するタイプが主流となっている。そのため、より安定した走行が可能だ。

一方、常時四輪を駆動しているため、2WD車やパートタイム4WDと比べると、燃費性能が悪いといったデメリットがある。燃費よりも安定感のある走りを重視するのであれば、フルタイム4WDを選ぶとよい。

パートタイム4WDのメリット・デメリット

パートタイム4WDのメリットは、必要なときに四輪駆動に切り替えるタイプとなっているため、ドライバーの意思で2WDと4WDを選択できるという点である。近年では採用されるモデルが少なくなってきているが、古典的なシステムであるため、信頼性が高く、現在でも一定の需要がある。

一方、先述したとおり、四輪駆動の状態のままドライなど路面状況が良い場所を走行すると、ブレーキがかかったような「タイトコーナーブレーキング現象」が起きるという点がデメリットだ。

パートタイム4WDのモデルを運転する際は、ドライバーが2WDと4WDの切り替えを忘れないよう注意しなければならない。

4WD(四輪駆動)は雪道だけでなく走行安定性にも寄与する

ここまで解説してきたとおり、四輪駆動(4WD)は滑りやすい路面や雪道・凍結路、未舗装路などの悪路における走破性に優れていることが大きな特徴だ。よって、ドライ路面やアスファルトを走行するユーザーには関係ないと思われがちであるが、実際にはそうではない。

近年の4WDシステムは、ドライ路面やアスファルト、状態が良い道路での走行安定性を重視したタイプが増えてきている。そのため、どのような場所でも安定して走れるという理由で4WDモデルを選ぶユーザーもいる。

また、高性能車やスポーツカーなど、ハイパワーなクルマにも4WDが採用される事例が増えてきていることから、四輪駆動がいかに安定した走行に寄与しているかがわかるだろう。4WDは、いまや安定した走行を実現するために必要なメカニズムになってきているのだ。

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